ICE2002報告 山内 昭 |
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カリブ海と入道雲
このホテルにはヘミングウェイも滞在した。
キューバはすぐそこ。
場所
いよいよ待ちに待ったICE 2002ツアーである。今回はアメリカフロリダ州のキーウェストで開催された。
キーウェストはフロリダの先端からカリブ海に伸びる列島の最先端の小さな島であり、リゾート地として有名である。本土から列島をつなぐ海上の道路で結ばれているが、飛行場もある。今回は時間の関係で飛行機で直接上陸した。マイアミとの往復は小型のプロペラ機である。
キーウェストは小説家ヘミングウェイが晩年住んでいた場所であり、代表作「老人と海」の舞台でもある。
アメリカ合衆国の最南端に位置し、島の最南端には Most Southern Point の石碑がある。そこからさらに140kmほど南下するとキューバだ。
気候は高温多湿で、ハリケーンのメッカでもある。
受付カウンター
朝食風景
受付
成田を6月19日18:25に出発し、途中シカゴ、マイアミ経由で現地時間の20日0:01にキーウェストに到着した。今回はかなりタイトなスケジュールで、深夜に到着して翌日の朝から学会に出席する。
初日(2002年6月20日)受付カウンターにて名札と資料一式をもらう。写真は日本からの参加メンバー(計7名)。時差ぼけをするまもなく朝食をとる。
ICE参加費には、朝食と昼食が含まれている。テーブルには様々なテーマやエキゾチックの種の札が掲げてあり、共通の話題を話し合いたい場合はそのテーブルにつくとよいようになっている。食べ物は不作であった。
ユニークな形に刈り込まれた巨大ベンジャミンの前で記念撮影
ハイビスカスの垣根:ハイビスカスは至る所で見られた。
南国
キーウェストは、前回ICE 2001が開催されたフォートローダーデールよりもさらに南の島で、すでにカリブ海に足を踏み入れている。気温、湿度ともに高く、正直いって「不快」な暑さである。6月はハリケーンのシーズンでもあり、あまり天気はよくなく、日に幾度となくスコールにみまわれた。
その高温多湿のなか、南国の植物はすくすくと育っていた。
ブラウンアノール
動物
自然の中では見事に保護色となり、しばらくは気付かなかったが、周りにはたくさんのトカゲがいた。グリーンアノール、ブラウンアノールであろう。眼が馴れるにしたがって次々と確認でき、実はトカゲだらけであることが判明する。繁殖期なのか、赤いデューラップを広げてしきりに求婚している姿がけなげであった。
会議室
スライド:全ての報告はスライドを上映しながら行われるので、大変分かりやすい。
インタラクティブセッション:定期的に参加者と発表者の質疑応答を行う場が設けられ、白熱した議論が交わされる。
国際エキゾチックアニマル学会
いよいよICE 2002がはじまる。スケジュール通り20日から22日までの3日間、朝9時頃から夕方5時半頃まで世界各国から集まった獣医師の発表が続く。昼食とコーヒーブレーク以外はずっと缶詰状態である。
困ったことに、外気温とはうらはらに会議室内は冷房が効きすぎで大変寒く、上着を着ても足りないほどであった。しかし、寒がっているのはわれわれのみのようで、アメリカの方々はTシャツやタンクトップで平然としているのが印象的であった。普段からあまり省エネという考えがないのであろうか。
参加者は昨年より多く、200名ほどの参加があった。アメリカはもちろん、イギリス、カナダ、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ブラジル、メキシコ、プエルトリコ、日本などからも多数の参加があった。
内容は鳥類やフェレットなどの小型哺乳類に関する報告が多く、両生類、爬虫類は少なく感じられた。しかし、発表内容は充実しており、エキゾチックアニマルの最新医療を学ぶことができた。
エキゾチックアニマルに対する鍼治療の報告まであったのが大変ユニークである。
ICE 2002 プログラム
6/20 7:30-8:45 Breakfast 8:45 Exotic Marketplace 9:45 Welcome and Announcements 10:00 Acute Pancreatitis in Parrots 10:30 Pancreatic Biopsy via Endoscopy 10:40 Radiographic Diagnosis of Juvenile Osteodystrophy in African Greys 11:10 Natural History Aspects of South American Psittacines 11:30 Current Issues in Avian Behavior 12:00 Lunch:Exotic Marketplace 13:45 World Precision Instruments 14:00 Lorikeets:Husbandry and Medicine 14:30 Toucan Medicine, with Emphasis on Hemochromatosis 14:50 Surgical Correction of a Deformed Tibiotarsus in a Gray Parrot 15:20 Break 15:50 Austrarian Aviculture 16:20 Pathology of Psittacines in Brazil 16:50 Avian Endoscopic Documentation as a Practice-builder
6/21 7:30-8:45 Breakfast 8:45 Exotic Marketplace 9:45 Announcements 10:00 Herbal Treatment of Feather Picking 10:20 Herbal Remedies for Small Herbivores 10:40 The Use of Aldara for the Treatment of Cloacal Papillomatosis in Psittacines 11:00 Basic Avian Acupuncture 11:20 Amphibian Medicine 11:40 Epidural Analgesia in Ferrets 12:00 Lunch:Exotic Marketplace 14:00 Prize Drawing 14:45 Update on Metabolic Bone Disease in Rabbits 15:15 Intestinal Obstruction in Rabbits 15:40 Break 15:55 Dacryocystitis in Rabbits 16:15 Endoscopic Evaluation of the Respiratory System of Rabbits 16:45 Interactive Session
6/22 7:30-8:45 Breakfast 9:00 Surgical Removal of a Mediastinal Mass in a Rabbit 9:20 Update on Ferret Adrenal Research 9:45 Laparoscopy in the Domestic Ferret 10:05 Break 10:15 Clinical Use of Cryosurgery for Adrenal Gland Removal 10:35 Clinical Evaluation of Ferret Adrenal Surgeries 10:55 In-house Chemistry Testing for Exotics 11:15 Using Digital Imaging Technology 11:35 Interactive Session 12:00 Lunch 13:10 The Quest for a Canine Distemper Vaccine for Extotic Carnivores 13:30 Marsupial Nutrition and Physiology 13:50 Hand-rearing Orphan Marsupials 14:10 Major Medical Problems of Degus 14:30 Veterinary Considerations for Nonhuman Primates 14:50 Introduction to Fennec Foxes 15:10 Break 15:30 Practical Reptile Nutrition 15:50 Administration of Aerosolized Antibiotics to Reptiles 16:15 Reptile Neoplasia 16:45 Interactive Session 17:30 Conference Closes
最終日:ICE主催者リンダハリソンを囲んで
学会終了
あっという間に3日間の会が終了した。内容が充実していたからであろう、時差ぼけの上、連日早朝まで飲んでいたにもかかわらず、会議中に眠くなることはなかった。
今回はICE主催者のリンダハリソンさんに事前にお願いして、VEINの宣伝ロゴの入ったTシャツの販売をさせてもらった。かなり好評で、ほぼ完売することができた。
次回ICE2003は6月4日から7日まで、フロリダパームビーチで開催される。
ブース用ホール
動物用医療機器:極細腹腔鏡デモ
ブース
会議室とは別のホールには、会に合わせて各メーカーが展示即売を行うブースが出店されていた。アメリカでは依然内視鏡や腹腔鏡ブームのようで、多くの出店がみ受けられた。また、手術器具や書籍などもICE特別価格で購入できる。
食べられないケーキ
食事
ICEとは関係ないが今回は、改めて食事のまずさを痛感した。肉はぼそぼそな上に味が濃くて量が多い。個人的にはグルメではないが、それでも詰めこむのに相当苦労した。ケーキに至っては砂糖よりも甘く、とても食べられる代物ではない(決して大袈裟な表現ではない)。
前回の経験から、煎餅や味噌汁を持ちこんだが、部屋の湯沸し器が壊れており、結局飲むことができなかった。
キーウェストにも1軒だけすし屋があるが、日本食通のアメリカ人に「あれはインチキだから行かないほうがよい」と忠告された。アメリカの食文化はどうなってしまうのだろう。他人事ながら心配である。
ヘミングウェーホーム:アーネストヘミングウェイの家は観光名所である。
オーデュボーンハウス:鳥類の図鑑を制作したオーデュボーンの家がそのまま資料館として保存されている。
アクアリウム:サメ、ウミガメなどがたくさん飼育されていた。
イグアナ:アクアリウムに1頭飼われていた。フロリダ半島やフロリダキーズ(キーウェストまでの列島)にはたくさんの帰化したイグアナが棲息しているという。ハイビスカスの花を喜んで食べてくれたのが印象的である。
キーウェストアロエ:女性陣には有名な所らしい。
フリーデー
今回は学会終了した翌日1日だけ観光日を設けた。
小さい島なので、観光名所は限られており、徒歩もしくは自転車で周ることが可能である。有名な所としては、ヘミングウェイホーム、オーデュボーンハウス、水族館、沈没船から引き上げた財宝を展示している博物館などである。
幸か不幸か、最終日の天気はよかったのだが、炎天下の観光はかなり大変であった。太陽は天頂にあり、自分の真下に小さな影ができることが驚きであった。