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太陽の恵み



何億年もの生命の歴史のなかで、地球上のあらゆる生物は太陽の光を元に進化してきました。
太古の昔、人間は火を手に入れます。これは光と熱が同時に得られるすばらしい発見です。
しかしながら、焚火の光にしても、ろうそくの光にしても、質の面では太陽光線とはほど遠いものでした。
近代になり、エジソンの電球の発明、さらには蛍光灯の発明がなされても、それら人工照明のもとでは、人間を含むあらゆる生き物はストレスを感じてしまいます。それはやはり太陽光線とはあまりにもかけ離れているからです。
時代が進むほど、私たちはより一層太陽光線から離れた生活をするようになってきています。朝起きてから、バスに乗り、電車に揺られ、会社で一日過ごし、日が暮れてから帰宅することの繰り返しです。ほとんどの場合、1日の大半をスペクトルバランスの崩れた電球や蛍光灯の元で暮らすことを強いられていることでしょう。しかし、これは太陽光線の元で育ってきた生き物にとって、様々な精神的・肉体的問題を引き起こします。
例えば、真っ赤や真っ青な光の部屋に長時間いると精神に異常をきたすことは容易に想像できるでしょう。しかし、通常の蛍光灯下で生活するのは、この軽い状態が続いているのと同様なのです。通常の蛍光灯は明るさを稼ぐために、人間の眼の感度が最も高い黄色から緑色のスペクトルを最も多く含むように設計されているからです。そう、白く見える蛍光灯の光も、実際は黄緑色なのです。ためしに蛍光灯下で写真を撮ると、写真界では有名な「緑かぶり」という現象が起き、全体が緑色のフィルターをかけたかのように写ってしまいます。
しかしながら、蛍光灯の色にそれほど違和感を感じないのは、単に人間の眼と脳が優秀なためで、蛍光灯下では白い紙が白く見えるように脳が常に色温度を補正しているからなのです。これが疲れの原因でもあり、ストレスの原因でもあるといわれています。
YILでは、光の質に注目し、できるだけ太陽光に近づけて設計された特殊照明器具の紹介をしております。
20世紀には様々な照明器具が開発され、各メーカーは明るさを競い合いました。しかし、21世紀は質の時代です。光も質で選ぶ時代が来るでしょう。太陽の光を浴びたときの何ともいえない気持ちの良さ、安心感を忘れないでいただきたいのです。
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太陽光スペクトル
可視光領域では、赤から紫まで連続したスペクトルになる。所々にある黒い縦線はフラウンホーファー線であり、原子の吸収スペクトルである。