顕微鏡対物レンズの応用


仕事柄、等倍以上の撮影倍率を要求されることがある。単体マクロレンズの等倍で、ボディのクロップを使うと2倍にはなるが、それ以上になると厳しくなる。
今回、顕微鏡対物レンズマウントの規格であるRMSマウントをTマウント(T-2:42mmP0.75)に変換するアダプタを入手したので、顕微鏡対物レンズを応用した等倍以上の撮影の可能性を探ってみた。

顕微鏡対物レンズの応用:RMS -> T-2(42mm P0.75)マウント変換アダプタ Photo:Akira Yamanouchi.
1. RMS -> T-2(42mm P0.75)マウント変換アダプタ(2011/09/08)
左:T-2マウント->Nikon Fマウント変換アダプタ、中央:RMS->T-2マウント変換アダプタ(Edmund Optics TS Tマウント RMS対物レンズホルダー )3900円、右:RMSマウント顕微鏡レンズ
アダプタは自作しようと考えていたが、RMS(M20.32×P0.706)のタップは1本1万6千円もするので、アダプタ買った方が遥かに安い。
因みに、RMSはRoyal Microscope Societyの略で、イギリスの王立顕微鏡学会が持つ国際的なマウント規格。インチ規格(径0.8インチ、ピッチ1/32インチ)なので、ミリに直すとこんなに特殊な数字になってしまう。

顕微鏡対物レンズの応用:テスト撮影用ターゲット Photo:Akira Yamanouchi.
2. テスト撮影用ターゲット(2011/09/08)
今回は私のお宝、ちょっとレアな1943年の1セント硬貨をターゲットとしてみる。
1943年は第二次世界大戦真っ只中で、薬莢に使用する銅が不足したためそれまで青銅 (95% 銅、5% スズと亜鉛)で作っていた1セント硬貨が、1943年に限り亜鉛でコーティングされた鋼鉄で製造された。

顕微鏡対物レンズの応用:表面全体像 Photo:Akira Yamanouchi.
3. 表面全体像(2011/09/08)
磨り減ってもいるが、そもそもあまり作りの精度がよくない。IN GOD WE TRUST、LIBERTY、1943、Sの文字が読み取れる。Sはサンフランシスコ造幣局の刻印。
小学生のころサンフランシスコに住んでおり、近くの駄菓子屋のオヤジが持っていた。はじめて見て、この不思議な色にぞっこんだった。以来、毎日のように43年の1セントくれといい続けたが、答えはNoだった。しかし、3年後、日本に帰ることになり、挨拶に行ったら手渡してくれた思い出の1セント硬貨だ。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)
Flash : R1C1

顕微鏡対物レンズの応用:表面等倍撮影 Photo:Akira Yamanouchi.
4. 表面等倍撮影(2011/09/08)
単体マクロレンズの最大拡大。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)
Flash : R1C1

顕微鏡対物レンズの応用:裏面全体像 Photo:Akira Yamanouchi.
5. 裏面全体像(2011/09/08)
左側にプレス時のひずみのようなシワがあり、いいかげんな作りだ。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)
Flash : R1C1

顕微鏡対物レンズの応用:裏面等倍撮影 Photo:Akira Yamanouchi.
6. 裏面等倍撮影(2011/09/08)
単体マクロレンズの最大拡大。E PLURIBUS UNUM、ONE CENT、UNITED STATES OF AMERICAの文字が読み取れる。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)
Flash : R1C1

顕微鏡対物レンズの応用:PlanApo4倍 Photo:Akira Yamanouchi.
7. PlanApo4倍(2011/09/08)
年号部分。顕微鏡用4倍レンズ装着。機械的鏡筒長160mmの仕様なので、CCD面からRMSマウント面までが160mmになるようにベローズで調整した。
対物レンズはN大学の某M博士からいただいた貴重なPlanApo4x。Planは像面湾曲収差を補正してある指標であり、Apoは泣く子も黙る3波長色消しのアポクロマートレンズの証しである。
こういった色の無いターゲットを撮影すると、色消しの優秀さが分かる。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Olympus PlanApo4 0.16
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:4倍 Photo:Akira Yamanouchi.
8. 4倍(2011/09/08)
LIBERTY部分
Camera : Nikon D2xs
Lens : Olympus PlanApo4 0.16
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:4倍 Photo:Akira Yamanouchi.
9. 4倍(2011/09/08)
GOD部分
Camera : Nikon D2xs
Lens : Olympus PlanApo4 0.16
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:4倍 Photo:Akira Yamanouchi.
10. 4倍(2011/09/08)
UNUM部分
Camera : Nikon D2xs
Lens : Olympus PlanApo4 0.16
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:4倍 Photo:Akira Yamanouchi.
11. 4倍(2011/09/08)
裏面CENTのCE部分
Camera : Nikon D2xs
Lens : Olympus PlanApo4 0.16
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:PlanApo10倍 Photo:Akira Yamanouchi.
12. PlanApo10倍(2011/09/08)
年号部分。対物レンズをS社のM氏からいただいたNikonの10倍プランアポレンズにしてみる。こちらも像面湾曲収差と3波長の色消しをした稀少なレンズで、10倍で開口数0.45は驚異的だ。
驚くべき拡大率と解像度であるが、被写界深度が極めて浅いため、撮影は困難である。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon PlanApo10 0.45
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:10倍 Photo:Akira Yamanouchi.
13. 10倍(2011/09/08)
同上年号部分。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon PlanApo10 0.45
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:10倍 Photo:Akira Yamanouchi.
14. 10倍(2011/09/08)
エイブラハム・リンカーン肖像の目の部分。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon PlanApo10 0.45
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6

顕微鏡対物レンズの応用:10倍 Photo:Akira Yamanouchi.
15. 10倍(2011/09/08)
裏面AMERICAの一部。
Camera : Nikon D2xs
Lens : Nikon PlanApo10 0.45
Flash : R1C1
ベローズ:PB-6




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対物レンズの応用
URL(http://yil.jp)
Created:2011/09/08
Updated:2011/10/4
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