D5600による、はじめての野鳥撮影



2017年夏、妻が野鳥に興味を示してきた。私の野鳥撮影に付き合わされているうちに、自分も撮ってみたいと思うようになったようで、大変喜ばしい。

これは良い機会だと思ったので、熱が冷めないうちに一眼レフのセットを買いに行った。今までの経験から、野鳥を撮るにはやはり光学ファインダーの一眼レフ+望遠レンズにこだわりたい。また、フォーマットも最低でもAPS-C以上欲しい。

問題は彼女が持てるセットがあるかどうかだ。身長150pで体重40s以下、懸垂は一回もできない非力さである。まずはカメラ量販店に行って色々な機種を持たせてみた。

そこで出会ったのが、モックアップかと勘違いするほど軽い印象のNikonのD5600だ。ダブルズームキットには70-300oのズームまでついているが、それを付けても相当軽い。これなら非力な女性でも十分持てるだろう。まさに求めていたカメラに出会えた想いである。

軽さとは裏腹に、カメラの機能としては本格的にしっかり作られており、初心者が野鳥撮影を始めるにはちょうど良いスペックである。よく「最初はコンデジからスタート」などと言う人もいるが、個人的には反対だ。CCDを小さくしたり、デジタルズームのインチキ高倍率ではなく、APS-C以上のフォーマットの一眼レフで、きちんと光学レンズによる描写でなければならない。そうでないと、折角芽生えた野鳥への興味や撮影することの喜びが台無しになってしまう可能性があるからだ。

早速このダブルズームキットを購入し、ここから彼女の野鳥ライフがはじまった。

使ってみて、初日から重さはまったく問題にならなかった。首からぶらさげて10q近く歩いたが、音を上げることもなく、後日筋肉痛になることもなかった。それよりも、一眼レフ特有の音や振動が快感だと言う。今まではスマホやミラーレスしか触ったことがなかったので、「撮ったぞー!」という実感というか、手ごたえを感じたようである。

最近のカメラは良くできているので、D5600自体の写りもすこぶる良い。


ダブルズームキットの70-300も大変良くできたレンズで、AFも速く、描写も悪くない。しかし、いかんせん望遠端で300oであるため、数ヵ月使うと野鳥撮影用としてはいささか物足りなくなってきた。

撮影にも馴れてきたので、もう少し望遠が欲しい。しかし、多くの望遠レンズは重い。Nikonには300mmF4PFがあり、大変軽くて評判の良いレンズであることは知っていたが、300oなので、描写はともかく、拡大率はキットレンズと変わらない。ならばいっそのこと、200-500ズームはどうかということで、ダメ元でまたカメラ量販店に行って持たせてみた。

重くて持てないと言われることを予想していたが、その頃妻はもうすでに鳥撮り人になっていたので、予想外に「持てる」との言葉が出てきた。しばらく振り回して試させたが、「全然大丈夫」とのことだ。まあ、買い物するときは興奮状態なので、鵜呑みにはできないが、見た感じはそれほど違和感を感じなかった。

ダメだったら私も使うことがあるかもしれないので、無駄にはならないかと思って買うことにした。ただ、この重さになると、さすがにボディのストラップだけで首からぶら下げるわけにはいかないだろうと思い、たすき掛けの速写ストラップをいっしょに買い、レンズフットに取り付けるようにした。これが大変良かったようで、こんな3s近いシステムにグレードアップしても、今まで同様に10q近く歩いてもまったく問題がなかった。

かくして、今では私よりも積極的にフィールドに出たがるようになり、めきめき上達し、本職の私よりも良い写真を撮るようになってしまった。

野鳥写真を撮り始めて半年ほど経過したとき、一度撮った写真をまとめてみないか、ということで小冊子をつくることを企画した。どうせ作るなら、単に写真を並べるだけではなく、自分と同じように野鳥に興味を持ち始めているが、写真撮影に一歩踏み出せずにいる方々の参考になればと、前半は簡単な機材や撮影方法などの説明、後半はコメント付の写真集とした。野鳥のことは私の野鳥の師匠でもある某K博士に教わり、撮影技術については私が伝授した。野鳥も写真も素人だった人間が、半年間勉強したり、練習したりすることで、どのくらいの写真が撮れるようになるかという実験でもあり、結果はその指標にもなるとの期待もあった。タイトルは、某K博士につけていただいた。「たかちゃんの、鳥さんこんにちは」である。

専門にやっている方々には恥ずかしい内容であるが、本当に半年前にはハトとスズメくらいしか知らなく、一眼レフなんか触ったことがなかった人間が、今は週に二日も鳥を撮りに行くほどはまっている。歩くので、健康にも良く、遠くを見て鳥を識別しようとしたり、図鑑を調べたり、囀りを覚えようとする行為はボケ防止にもなり、野鳥撮影は様々な副次的効果も期待できる。

20ページの小冊子であるが、これから一眼レフで野鳥の撮影を始めたいと考えておられる方々の参考になればこれほどうれしいことはない。

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20cmx20cm、全20ページ印画紙品質カラー印刷
















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