短波長光照明
Short Wave Illumination


●フルオレセイン染色による角膜検査
角膜の潰瘍や傷を調べるのにフルオレセイン染色液による検査がある。角膜表面は撥水性があり、実質層は親水性がある。前眼房に近いデスメ膜は撥水性の層となっている。フルオレセイン染色液は水溶性であり、実質層が露出するような潰瘍や傷が染色される性質があり、その性質を利用して角膜の状態を検査する。フルオレセイン染色液は蛍光物質であり、紫外線から青色光によって励起され、黄色に発光する。したがって、正常な角膜は染色されず、実質層が露呈する潰瘍や外傷があると黄色に発光し、デスメ膜まで到達する深い傷は周辺が縁取り状に発光する。(参考:VEIN:PAL動物病院小野啓による眼科検査記事)。
本試験は、通常暗室で行われ、青色スポット光などによって得られる微弱な発光現象を捉えて評価する。したがって、フルオレセイン染色による角膜検査の画像を得るのは大変困難であり、学会論文や雑誌投稿などにも画像が登場する例は少ない。
しかし、診療の記録として角膜検査の画像を残すことは大変有用であり、今回は照明法を工夫して撮影することを試みた。
フルオレセイン蛍光染色液(商品名:フローレス試験紙)の蛍光体励起波長は薬剤の説明書にも記載がなかったので、発光効率の高い波長を探り、短波長光照明装置を開発する。
赤外線照明装置はいくつか存在するが、紫外線照明装置を売っているのは見たことがない。一般のカメラメーカーでは製造していないものと思われる。
今回は、ブラックライト、青色発光ダイオード、紫外線発光ダイオードを使用した照明装置を試作した。