ケガについて
概要
放し飼いにしているイグアナは、部屋の中をかなり活動する。タンスの上や棚から別の場所に移動するとき、少し離れている所でも飛び移ろうとすることがある。時に目測を誤ったり、滑ったりして、落下することがある。
一番問題となるのは骨折である。手足の骨折だけであれば治療可能であるが、打ち所が悪かったり、カルシウムやビタミンD不足で骨が脆くなっているような場合は、脊柱を骨折することがある。脊椎の骨折は、治療がきわめて困難であり、骨折を起こさない環境を作ることが先決である。
落下後、使わない手足があったり、半身を引きずって歩くような行動が観察された場合、脊椎を損傷している可能性がある。このような場合は、ただちに動物病院での検査をすすめる。
放し飼いでの落下事故では、先のとがったものの存在も危険である。1つの鉛筆立てが、イグアナの命を奪うこともある。
また、落下中に何かに捉まろうとして、1本の指に過大な力が加わると、爪が取れてしまうこともある。かなり出血するが、圧迫止血で止血できる。オキシフルなどでよく消毒すると良い。爪はいずれ再生してくるが、爪が伸びるのは意外に遅く、通常の長さになるのに半年近くかかる。
背中に生えているトゲも、取れてしまうことがある。これも、消毒して放置しておくしかない。時間はかかるが、いずれ再生してくる。
複数のイグアナを飼育している場合、イグアナ同士のかみ合いによっても、皮膚に損傷を負うことがある。筋組織が露呈しているような深い傷は、病院で縫合する必要がある。浅い切り傷などは、消毒しておくだけで通常は治癒する。
その他の人為的な事故で、イグアナに最も多いのが尾の切断である。踏んだり、ドアに挟んだりして切断されることがある。また、イグアナ同士のケンカなどによって尾を自切することもある。
切断されてしまった尾は、縫合することはできない。切断面を消毒して回復を待つ。
自切の場合、通常はあまり出血しないが、人為的な事故などで出血が止まらない場合は早急に動物病院で診察を受ける。
尾は徐々に再生されるが、もとの長さには戻らず、黒いバンド模様も失われる。再生された尾には骨はなく(軟骨)、色も茶色になる。
切断個所にもよるが、太い部分で切れた場合はバランスが悪くなり、落下事故が頻発するようになる。イグアナに合わせて危険のない様に環境を変える必要もある。