●イグアナを飼う前に

イグアナは、

飼いやすいというのはウソです。
水槽で飼えるというのもウソです。
初心者向きというのも大ウソです。

巨大になって、大食いで、食費と電気代が
めちゃくちゃかかる生き物です。

でも、
人に馴れるのはホントです。
イグアナなしで生きられなくなるのもホントです。

コスト

たとえイグアナ自体の値段が数千円であったとしても、正しく飼育するためには、最初に数万円の設備投資が必要になります。
次に、イグアナを飼い続けていく上での必要なお金が問題となってきます。主なものは電気代と餌代です。しかし、初めの数年、温室飼育している間の電気代はさほど気になるほどではないでしょう。
餌は、毎日、数種類のものを与えるとすると1日平均して200〜300円はかかるはずです。そうすると餌代として、1匹当り月々5000円〜1万円はみておく必要があるでしょう。
数年して成体になり、放し飼いにすると電気代はさらに大変になってきます。単独飼育で、工夫をすればあまりお金をかけなくても飼育できると思いますが、ある程度は覚悟していただいた方が良いでしょう。もちろん夏場はぐっと少なくなりますが、タダになる訳ではありません。
さらに、器具の保守点検費、定期的に買うビタミン剤や病気になった時の治療費まで含めると、その額は相当なものになってしまいます。しかし、これらは、イグアナを飼うと決めた以上は必要となる経費なのです。もちろん私たちは、これだけの費用をイグアナにかける価値は十分にあると思っています。
イグアナ自体の値段は、小学生でもおこづかいで買えるほどになりました。けれども、本当に飼育するためには、ご両親にかなり理解してもらわないと飼育が困難であることが理解していただけると思います。水槽で満足な温度管理もされず、レタスだけで育てられているイグアナは、ただ死を待つだけになってしまうのです。

時間

幼体のころは、1日に何度も食べたり排泄したりするので、飼う人の時間も制約を受けます。だれかがいつも家にいる場合は良いのですが、一人暮しの人がイグアナを飼うのは、結構大変でしょう。朝、早起きをしてイグアナに餌を与えたり、温室の掃除をする時間を設けなければならないかもしれません。わが家の場合は、14匹のイグアナの世話で、午前中はほとんどつぶれてしまいます。

大きさ

juvenile adult イグアナが大きくなることも前もって十分に知っておいた方がよいでしょう。ふつう、ショップでは、幼体のイグアナしか売っていないので、買う前に成体のイグアナを見る人は少ないと思います。しかし、イグアナは成長すると、幼体からは想像できないほど大きくなります。
SVL10cm程度の幼体が、SVL40〜50cmの成体になると表現しても、あまり驚かないかもしれませんが、例えば長さが5倍になったとすると、彼らはほぼ相似形に成長するので、体積的には5×5×5=125倍にもなるのです。40〜50gの幼体が、数年で5000〜6000gに達してしまいます。手の平に乗る指より細いイグアナを見ていても、なかなか想像できないでしょう。しかしこれが現実なのです。
従って、買う前に、これから自分がイグアナを飼おうと準備している飼育環境が、数年後にSVL40〜50cm、全長1.5〜2m、体重5〜6kgにもなる成体のイグアナを飼うのに適当かどうか、十分に検討する必要があります。「大きくなったからいらない」と言ってその辺に捨てるような悲惨なことだけは絶対に避けなければなりません。

まとめ

「小さくて、安くて、飼育が簡単なイグアナ」という考えは今すぐ捨てて下さい。「巨大になって、費用もかかり、飼育が大変なイグアナ」であると認識していただいた方が、より現実に近いでしょう。
しかしながら、時間も費用もかかり、大型になることも納得した上で買った人は、この上なくイグアナを愛することができると思います。そういう人にとっては、イグアナは最高の友、仲間となることができます。会社を休んでイグアナを病院に連れて行ったり、自分たちの食費を削ってイグアナたちのために栄養価の高い野菜を買うことは、少しも不思議なことではありません。イグアナを中心に生活のペースを作っているといっても過言ではない生活がはじまるでしょう。それほど彼らは魅力的なのです。
イグアナを飼いはじめて、最初に驚くのは、彼らの頭の良さだと思います。昔から爬虫類は脳が小さいと言われ続けていますが、脳の大きさと知能は必ずしも比例しません。まず第一に「人に馴れる」ということが素晴らしいことです。少なくとも、彼らは私たちを危険のない生き物だと認識してくれたことになります。その他にも、襖を開けたり、トイレをの場所を覚えたりと、かなりの知的な行動をとります。だからこそ「共に暮らす」ということが可能になるのです。
イグアナの魅力にとりつかれた人にとっては、大型になることも、やっかいな問題どころか大変喜ばしいこととなります。大きく成長することは健康な証拠ですから、われわれがイグアナに真心こめて取り組むほど、どんどん大きくなるでしょう。定期的にSVLを測定したり、体重を測定するのが楽しみになって来ます。 1m以上のイグアナが、気持ち良さそうにテレビや冷蔵庫の上で寝ている姿を見ると、最高の幸せを感じてしまうのは私たちだけではないはずです。

飼う前に十分に考えてください
  • 最初に温室やヒーターのために数万円の設備投資ができるか
  • 毎日イグアナの世話をする時間がとれるか
  • 日々の野菜代を確保できるか
  • 2m級に育ったときの飼育スペースを確保できるか
  • 電気代などのランニングコストを確保できるか
  • 未成年の方は、家族の了解を得られたか
これらがすべてクリアされた方以外はイグアナ飼育をおすすめしません。