短波長光照明装置2号機
Short Wave Illumination System - II


●短波長光照明装置の開発
●短波長光照明装置2号機
1号機では光量が足りなく、様々な問題点が露呈した。

1号機問題点
  • 暗室で撮影する必要がある。
  • 光量不足であり、絞り開放近くで撮影するため被写界深度が浅い。
  • シャッター速度を低速にする必要があり、無麻酔の動物を撮影するのは困難である。
  • 感度を上げて撮影するため、画質が悪くなる。
  • 暗室のため、フォーカシングが極めて困難である。
などがあげられる。
これらを改善するため、2号機はまったく別のアプローチで設計した。無麻酔の動物の眼を十分な被写界深度をもって等倍撮影するためには以下の条件を満たす必要がある。

2号機仕様
  • ISO200以下、絞りF22以上、シャッター速度1/100以下で撮影可能。
  • 暗室でも明室でも撮影可能。
この条件をクリアするために、ストロボを改良し、フルオレセイン染色液を励起するためのコバルトフィルターを設置した。フルオレセインの励起光は490nmであり、520nmの蛍光を発する。ストロボ側に490nm付近にピークを持つバンドパスフィルターを設置し、カメラ側に520nm付近を通すフィルターを設置するのが最も効率の良い方法であると思われるが、大型のバンドパスフィルターは高価なため、今回はアクリル製コバルトフィルターを使用し、レンズ側は何も設置しないでテストしてみた。
簡単な装置であるが、予想以上の効果があった。
これでデジタル一眼レフカメラによるフルオレセイン角膜検査像を得る技術は概ね確立されたと思うが、まだ納得できない部分が多い。
眼科の本などを見ても、上と似た写真が掲載されているが、そもそも周辺がこれほど青く、カラーバランスが崩れた画像で良いのであろうか。青をキャンセルし、真っ黒な画面の中にフルオレセインの蛍光だけが浮かび上がった像も目にするが、全体像が把握できず、どこを見ているのか分かりにくい。
今まで周辺が青もしくは黒いフルオレ像が普通であると思われていると思うが、何も工夫せずに撮影すれば当然青く写り、それに誰も疑問を抱かなかったためであろう。青色光で撮るから周辺が青い写真しか撮ることができず、それが眼科学でのデファクトスタンダードとなってしまっていると思われる。
もう少し工夫をすれば、より美しいフルオレ像が撮影できるのではないだろうか。次回、3号機では眼科フルオレセイン染色画像の革新を提案したい。