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◇ 照明 ◇

 爬虫類にとっては大変重要な要素で、多くの爬虫類は、光が無いと生きて行けないほどです。自然界では、よく日光浴をしているトカゲやカメの姿を見かけますが、彼等にとっては絶対に必要なものなのです。飼育下でも同様で、本来は直射日光による日光浴が不可欠なのですが、温室飼育中は十分な日光浴をさせることは困難でしょう。それを少しでも補う為に、人工照明を使用します。 一口に照明と言っても、光源から発せられる光のスペクトル分布は、発光方式によってかなり異なります。赤外線をより多く発するもの、昼光色を発するもの、紫外線を発するものもあります。

紫外線領域を放射する蛍光灯

 紫外線を放射する蛍光灯のことがよくフルスペクトル蛍光灯と呼ばれていますが、これは間違った用法です。フルスペクトル蛍光灯という言葉は、デュロテスト社が作った呼称ですが、本来の意味は、スペクトルが連続した優れた分光特性を持つ蛍光灯という意味です。通常の蛍光灯は3色の蛍光物質により発光しており、分光すると3つのピークを持ち、太陽光のような連続したスペクトルになりません。デュロテスト社は7色の蛍光物質を使った蛍光灯を開発し、可能な限り太陽のスペクトルに近づけた分光特性絵を持つ蛍光灯を開発しました。それがたまたま紫外線領域まで放射しており、爬虫類飼育にも効果的だったために「フルスペクトル=紫外線」という誤解を生じたのでしょう。
紫外線領域まで照射する蛍光灯は、イグアナに限らず、日中活動するあらゆる生物にとって、非常に良い効果を発揮するとして注目されています。通常の蛍光灯と比べると高価なものですが、その秘めた能力を考えると、コストパフォーマンスは良い物だと思います。代表的なものにはデュロテスト社のトルーライトがあります。
 トルーライトの特徴として、スペクトル分布が平均太陽光に合わせて設計されているので、色が自然である事があげられます。通常の蛍光灯は明るさを稼ぐため、人間の眼の感度が一番良い、黄〜緑にピークが来る様に設計されているので、蛍光灯の照明だけで写真を撮って見ると、緑かぶりを起し、随分と色がずれている事が認識できると思います。トルーライトは、色温度が5500Kに設定されているので、写真を撮っても自然な発色になります。
 爬虫類にとって、色温度がどれほど直接的な影響を及ぼすのか正確な所は解りませんが、自然光に近いにこしたことはありません。海外の論文などでは、色温度が生物に与える影響は精神的な面で大きいと言う報告があります。余談ですが、米国の小学校の教室で試験的に使用した所、物がよく見えるため、学童の知能が上がったと言う報告もあります。このほか、正確な色を識別する必要がある病院、動物病院、デザイン事務所、宝石や真珠の選別所などでも多く使われています。
 紫外線を発するライトは、他にもブラックライト、紫外線灯など、紫外線の放射を主な目的としたものがありますが、取り扱いが比較的難しく、設置距離、照射時間等に充分注意しないと、火傷や失明の恐れがあり、安心して使用できません。それに比べて、フルスペクトル照明の紫外線の放射は、太陽光のそれに非常に近いので、これらの心配は全く無く、1日10〜12時間点灯したままで差し支えありません。YILではタイマーで朝7時から夕方5時まで点灯する様にしていますが、それによる弊害は出たことがありません。フルスペクトル照明の放射する紫外線は、290〜380nmのスペクトルが含まれており、これはビタミンDを合成するために必要となる波長域の1部です。因みに、通常の蛍光灯はほとんど紫外線を放射しません。
色温度が良いフルスペクトル蛍光灯は、

などがあげられます。
近年、紫外線UVB領域が注目されだしてから、よりUVBの放射率が高い蛍光灯が市販されるようになりました。これらは厳密な意味でフルスペクトルライトとは呼べませんが、爬虫類飼育には必要なアイテムとなってきました。代表的なものに、 等があります。
UVB領域が強化されている分、色温度が高く、青味がかった光のものが多いようです。トルーライトなどど併用することをおすすめします。
truelite 温室への設置は、天井近くにガラスを挟まずに取り付けます。通常のガラスは紫外線を透過しないため、ガラスを挟むとせっかくの紫外線がほとんどカットされてしまいます。
直射日光が不足する場合は紫外線を放射する蛍光灯で補う
・スポットライト

 スポットライトは、温室内のある特定の場所の温度を局部的に高くする(ホットスポット)為に設置します。その為、放射スペクトルは赤外線が多く含まれていることが望ましく、白熱系の電球を使用します。赤外線を主に放射する専用の赤いランプ(医療用)も販売されていますが、そこまで必要かどうかは疑問です。30W程度の通常のスポットライト用電球でも、投光範囲はかなり高温になりますので、十分だと思います。本当に赤外線のみを放射する真っ黒なランプもありますが、点灯確認もしにくく、かなり高温になりますので、使用には十分な注意が必要です。通常のスポットライトでも、電球自体は触れると火傷をしますので、誤ってイグアナが触れないように網のカバーを取り付けます。スポットライトは、やはり温室最上段にあたる様に取り付けます。取り付けは確実に行うようにして下さい。クリップ式の物は、針金で縛り付ける位の安全対策は必要でしょう。スポットライトのあたっている部分は、多分40度近くなると思いますが、イグアナが腹部を暖め、正常に食物を消化する為には必要な温度です。もし温度が高くなり過ぎるようでしたら、ワット数を小さくするか調光器を取り付けます。

最上段にスポットライトを設置し
火傷防止用のカバーを付ける